いよいよ今週末の10月27日に投票日が迫った衆議院選挙。私たちの暮らし、災害への備え、政治家の裏金問題などたくさんのトピックスが争点になっています。ただ、サイバコはサイエンスコミュニケーションの会社なので、今回はサイエンスコミュニケーション的観点から各党の科学技術に関する立ち位置や政策を整理してみました!
2024年の衆議院議員総選挙、サイエンスコミュニケーションから読み解こう
科学技術活動は政策にも大きく影響されます。日本では科学技術イノベーション基本計画というものが5年ごとに制定され、その政策に基づいて科学とそれにまつわる振興活動の方針が決まります。サイエンスコミュニケーション活動も第3期の科学技術基本計画より導入されて、科学研究、技術開発には社会への説明責任、そして科学を受容する土壌を育む必要性が記されています。
さて現在運用されている第6期科学技術イノベーション基本計画は、令和3年から令和7年、つまり来年度2025年度までの計画です。令和8年、再来年度から運用される第7期科学技術イノベーション基本計画は現在策定作業の真っただ中。そのため、今回の選挙でどの党が第一党になるのかは、科学技術基本計画の方針にも大きく関係するタイミングなのです。
大きく割れたエネルギー政策
科学技術政策をマニフェストに独自に掲げている党は多くはありません。一方で主要な政策の中には科学技術に関わる部分があります。その一つがエネルギー政策です。原子力発電(原発)を稼働させるのか、温暖化対策のためにどの程度脱炭素化を進めていくのか、各政党の主張を見ていきましょう。
原発を縮小もしくは停止をうたっている党は、即時停止が「共産党」「社民党」「れいわ新選組」、速やかな停止は「立憲民主党」、可能な限り依存度を低減させるとしているのが「公明党」です。原発は下の図でも7.7%を占める電力です。では原発以外の電力を各党はどのように想定しているのでしょうか。
もっとも急進的な変更を打ち出しているのが「共産党」です。2030年までに脱原発だけでなく、石炭火力発電もゼロにすることを目指しています。同時に電力の再エネ率を50%にすることも掲げています。同様に即時停止を求めている「れいわ新選組」も石炭火力は全廃を目指してます。「社民党」は5年以内に廃炉を目指し、電力構成で2050年には100%の自然エネルギーを目指しています。
「立憲民主党」も2050年の自然エネルギー100%を掲げていますが、原発の即時停止までの急進的なニュアンスはありません。また、石炭石油火力についてもバックアップ電源として活用することは認めています。「公明党」は水素発電などの技術革新をもって原発依存度を低下させていくことを目指しています。また2030年の再エネ割合は36~38%と他党に比べたら控えめな目標です。
「自由民主党(自民党)」は可能な限り原発依存度は低減するものの、その代替案として、水素発電・火力発電においても次世代化、その他次世代太陽電池、浮体式風力、次世代型地熱発電技術、など様々な新技術を開発、採用することによって省エネ、再エネを図る政策です。新しい電力技術は専門用語も多いので、マニフェストも簡単には読み解けない内容になっています。
原発の早期稼働を目指しているのが「日本維新の会」です。小型原子炉(SMR)や、有毒性を低減する高速炉など原発の新技術にも積極的です。その一方で、安全性や今後の運用方針(国が責任を取る)にも触れており、責任をもって原発を動かしていくという気概を見せています。また温室効果ガスの削減目標については産業流出に対して消極的な姿勢を見せています。「国民民主党」はエネルギーの安全保障の観点から、自国でのエネルギー生産に焦点化し、原発の運用も安全規制を踏まえたうえで早期稼働を目指しています。「参政党」はこれまでの再エネ政策を批判し、環境保護を訴えています。そのため既存原発、化石燃料も活用することを目指しています。
再エネルギー比率を高めることは地球温暖化にとってとても重要な視点ですが、大幅な再エネ化には技術的な課題を克服する必要があるでしょう。また、安全で温室効果ガスを排出しないという電力実現には技術革新が不可欠。エネルギー政策の背景には科学技術政策が関わっているけど、どこまでフォローしてくれるのでしょうか?
高等教育の大学無償化
日本は国際的にみても、教育費の自己負担が高い国といわれています。特に高等教育、大学以降の学費は公費より私費が占める割合が高いのが現実。次世代育成のために、高等教育への支援は各政党どこまで配慮してくれるのでしょうか?
大きく保障拡大に動いた方向性として、「全教育課程無償化」と規模をうたっている政党と、「2030年代」という時期をうたっている政党に分かれました。
まず「日本維新の会」は「義務教育の他、幼児教育、高校、大学など、教育の全過程について完全無償化を憲法上の原則として定め、給食の無償化と大学改革を併せて進めながら国に関連法の立法と恒久的な予算措置を義務付け」と大盤振る舞い!「れいわ新選組」は大学院までとさらに幅が広いです。
公的支援が手厚いイメージの「共産党」は、大盤振る舞いではないですが、具体的に「大学・専門学校の授業料をすみやかに半額にし、段階的に無償化する」、「"学生ローン"でなく、本格的な給付奨学金を75万人に」といった、実現したら助かる政策を打ち出しています。
「公明党」と「立憲民主党」は規模ではなく、時期を約束することで具体的な期待感を抱かせます。「公明党」は大学といっていますが、「立憲民主党」は、「国公立大学の授業料を無償化し、私立大学生や専門学校生に対しても国公立大学と同額程度の負担軽減を実施します。奨学金制度の拡充で学生の生活費等についても支援します。」としています。ここの具体的な線引きを、実現可能性とみるのか否かはあなた次第です。
そこまで大盤振る舞いしなくても、「自民党」だって負担軽減といっているし、「国民民主党」だって給付型奨学金拡充って言っているので、選挙の時だけじゃないだろうな!とちゃんと見守っていきましょう。忘れないからな!
各党の科学技術政策は?
科学技術に積極的な政党もあれば、科学技術について全く触れていない政党もあり、ここからは科学技術に触れている政党の主な政策について、私見を交えながら紹介します。
これまでの政策をちゃんと踏襲していくよという「自民党」。宇宙開発に前のめりなのが特徴です。また10兆円ファンドの効果はまだまだこれからの話なので、ふんふん、ってぐらいに聞いておきましょう。
さて、「公明党」のみが打ち出している、科学技術外交は、科学技術を通して他国の発展にも寄与するよという清らかな方針です。いろんな国と協力しなくちゃね!
「立憲民主党」と「共産党」は同じような方針で、基礎研究の強化や研究者の待遇に対する政策を打ち出していますが、「共産党」のマニフェストは絶対大学関係者が書いてる!って思うほど具体的です。マニフェストの具体化、切実さという意味では共産に軍配が上がります。
最後に科学技術に積極的なのが比較的若い党である「国民民主党」と「参政党」ですが、こちらは、熱量では「参政党」に軍配。政策の柱に「人類社会の課題解決へ世界を先導し続ける“科学技術づくり”」を掲げ、科学技術による国づくりを目指しています。ただし、「いわゆる「専門家」の言説に対しては成果主義をもって公平に評価する仕組みを創出」という、成果主義?言説に?と謎な公約も含まれていて、少し不安感をあおります。
ここまでサイバコでは、独自の視点で科学技術政策についてまとめていきましたが、もちろん皆さんの優先度、共感度は多様なので、不足している情報、視点もあるでしょう。ぜひ、みなさんの視点で各党の公約を調べてみてください。各党のサイトを覗いてみた感想も追記してます。
今回、検索性では一番悪かったです。でもスマホで見ると操作性がいいのであろう。
政策の柱が100本もあり、量が半端ないにも関わらず、インデックス性が高く、立憲民
主党と同程度に見やすいです。
1ページにまとまっている政策ページは、検索性も高くて、一覧性もあります。ただ、
下に言ったら目次に行くまでまたずっとスクロールして戻らないといけないので、せめ
てメニューバーがサイドにあったらな。
公約を動画で見せてくれるので、動画がいい人だといいんだけど、文字で読みたい人
にもっと親切なつくりを...
社民党
ホームページがつながらないので、不安になっちゃう...大丈夫かな?
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