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執筆者の写真Mineyo Iwase

科学と映画 その1の2


2023年9月4日配信、ChatPot 3「科学と映画 その1:種村剛さん」の内容をシリーズの記事としてお読みいただけるようになりました。ChatPot「科学と映画」では、映画が捉えた科学について、種村さんの観点からお話してもらっています。その1の2は映画「アンモナイトの目覚め」と映画「ドリーム 原題Hidden Figures」について紹介してもらっています。



(⁎ᵕᴗᵕ⁎) では、2本目の作品について教えていただきたいと思います。


「アンモナイトの目覚め」

(๑•ㅂ•)و これは2020年の作品で、私も実際に映画館で見ました。

19世紀、ビクトリア王朝時代のイギリス。黄金時代を迎えつつある英国を舞台にして、女性の古生物学者を描いています。この出てくる古生物学者はメアリー・アニングという実在の女性の生物学者です。


(⁎ᵕᴗᵕ⁎) 海外のテレビ番組がやっていて、そこにメアリー・アニングがタイムスリップしてきて一緒に化石を掘るシーンがあって。それで、メアリー・アニングって誰だろうと伝記を買って読んだりとかしてて、たまたま私も知っていました。そのメアリー・アニングが主人公の映画ですね。


(๑•ㅂ•)و もちろん映画なので、メアリー・アニングを主人公ですが、脚色があります。

タイタニックで主演して一躍有名になったケアリー・ウィンスレットがメアリー・アニングを演じています。人妻のシャーロット・マーチソンとの秘められた愛が表現されていて、映像が綺麗なんですよ。冬のイギリスの海の静かな、静かな感じで、波打ち際を歩いて2人で化石を探すとか、そういうのを見ると、あー綺麗だなと。


こういうところで彼女は化石探して、化石を掘って、それを売って生活の糧にしていたんだということを知ることができるんですよ。すごく面白いなと思いました。

結局、メアリー・アニングは当時、全然世間的には認められなかったんですよ。当時、やはり学会も男性社会なので、女性の生物学者ということで、学会に入れない。だけれども、新しい発見をどんどんしていく。そういう人たちが現代になって認められるようになったということは、すごくいいことだなと思っています。


(⁎ᵕᴗᵕ⁎) 100年ちょっとしか経ってないんですけれど、時代がそれだけ大きく変わってきたっていうのも感じますよね。


(๑•ㅂ•)و そうですね。シアーシャ・ローナンは美しくて、映像としてもすごく満たされる。女優さん2人がやはりいい女優さんなので。

映画としても非常に完成度が高いし、古生物学者を表現した映画として科学と映画というテーマとしてやはり見ておいていいんじゃないかなと思いました。


(⁎ᵕᴗᵕ⁎) 化石とか古生物を題材にした映画って、冒険ものになりがちですが、こういった切り口でというの珍しいですよね。


(๑•ㅂ•)و よく映画にしたなと思います。彼女を主人公にして。

この設定自体もすごく優れてると思っています。


「ドリームHidden Figures」

(⁎ᵕᴗᵕ⁎) では、3本目のご紹介お願いします。


(๑•ㅂ•)و 日本語タイトルがドリームなんですが、原題はHidden Figuresというタイトルです。

1960年代のアメリカで有人宇宙飛行計画であるマーキュリー計画が行われていて、実際にロケット飛ばすために数値計算をする必要があるのですが、それを人力でやっていたのです。その計算を黒人女性がやっているのですが、あまり日の目を見ることがなかったのです。実はそういう人たちが宇宙開発を支えていたことを表現した作品なんです。


その中で出てくるのが、1960年代、アメリカの黒人と白人の人種差別の問題や女性と男性の格差の問題ですね。かなりクリティカルに描かれていて、ここは科学という視点がある中で、それを取り巻く社会のあり方をうまく描いているいい作品だと思っています。


(⁎ᵕᴗᵕ⁎) 私も見たのですけれども、冒頭で当時のソ連が先に人工衛星の打ち上げを成功させるスプートニクショックが描かれています。これは科学技術コミュニケーションを学んでいる人だと1度は聞いたことのある出来事で、アメリカが科学政策をどんどん推し進めていく要因ということで取り上げられます。それが、これかという感じです。


(๑•ㅂ•)و スプートニクショックは1957年の話なんですね。

映画の中でもあったんですけれども、アメリカとしては、ソビエトが先に飛ばした人工衛星・スプートニクはスパイ衛星なんじゃないか、ソビエトは我々を見てるんじゃないか、宇宙にロケット飛ばせるならば、アメリカに核攻撃を直接できるんじゃないかということをやはり考えるわけです。それはアメリカにとってはすごくショックな出来事なんですよね、冷戦下において。そういう中で、さらに1961年にガガーリンの有人宇宙飛行が成功します。


この映画はスプートニクショックからマーキュリー計画、そしてアポロ計画に至る一連の宇宙開発の歴史の最初の部分が描かれていて、まさにアメリカの科学の開発史みたいで非常に興味深いんです。


科学の流れがあるのと同時に、当時の人種差別の問題が描かれていて、「なんでアメリカは飛ばせないんだ、ソビエトに先を越されてしまう」ということを映画の中で言うセリフがあるのですが、それは見てる我々には分かっているんですよ。それは女性差別、あるいは黒人への差別があるから。そういう格差があって、能力では劣ってないはずなんだけれども、実はそういうことが阻害要因になって開発がうまく進んでないんじゃないかということが描かれているんです。そして最後にマーキュリー計画の成功に行きつくところが描かれているんです。科学を見るのと同時に、当時の社会背景とかも一緒に見ることができる映画かなと思ってます。


(⁎ᵕᴗᵕ⁎) 本当にそうですよね。こういう時代でこういう科学技術の開発が行われていたという2つの背景を知ることができました。


(๑•ㅂ•)و 科学の知識は、要するに平等なんですよ。

そこもすごく大事なところで、つまり、女性だろうが黒人だろうが白人だろうが男性だろうが、科学の知識は科学の知識なんですよ。すごくポジティブにこの映画を捉えるならば、その知識をうまく使える人が認められていく、人種とか性別とか関係なく認められていくような社会が示されていて、科学の知識がこの社会の格差を変えていく可能性があること示されていると思いました。


(⁎ᵕᴗᵕ⁎) 図書館で主人公の黒人女性たちが本を借りれる、借りれないみたいなのもありましたよね。


(๑•ㅂ•)و そこもすごく面白いところで、確かですね。1954年にIBMのポートランというプログラミング言語開発されていて、このプログラミング言語を学ぶことによって、 黒人の女性たちが新しい職に就くことができる。ただ単に計算してるんだったら、コンピューターには人間はかなわないんだけど、プログラミング言語っていう新しいスキルを学び直すことによって、今度はプログラマーとして新しい部署で活躍していくっていうことも描かれていたと思います。


(⁎ᵕᴗᵕ⁎) すごく力強いですよね。次はこれが来るんじゃないかと、先に先に知識を得て、それを仕事にしていくのはかっこいいなって思います。


(๑•ㅂ•)و 女性が自分のキャリアをどう開いていくかということも、力強くポジティブに描かれていて、是非見てほしいと思いますね。


(⁎ᵕᴗᵕ⁎) 今日は映画をご紹介いただきました。種村さんは映画館で見るということもとても大事にされていて、映画館で映画を観るっていうのもすごく素敵な時間の過ごし方ですよね。


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