「カラスと話せば社会が見える?」
- Mineyo Iwase
- 2月14日
- 読了時間: 7分
2.カラスを研究する
2023年9月18日配信したChat Pot4「カラスと話せば社会が見える?」の内容を記事としてお読みいただけるようになりました。株式会社CrowLab代表の塚原直樹さんをお迎えして、カラスの賢さや生態、そしてコミュニケーションについて伺っています。

カラスの賢さのわけ
(⋆•ᴗ•⋆) 巣立ちした後も、しばらくはお母さん、お父さんに訓練されて、若者になってからちょっと世間知らずな行動をするっていうのは、ちょっと人間に近くて、感情移入をしてしまいます。
1回だけではなく、数回、越冬しないと一人前になれないことを、今回初めてお聞きして、非常に驚いています。カラスはまた頭のいい鳥っていうのも行動を見ててわかるし、よく聞くことだと思うんですが、あのカラスの賢さがわかる行動っていうのは、この厳しい冬を越えたり、教育をされたりっていうことで関連があるのでしょうか。
(¯∇¯)۶ そうですね、元々賢い鳥だとは思うんです。やはり厳しい死線を乗り越えるとか、人の生活をうまく利用するというか、人の生活から出てくる、栄養価が非常に高い生ごみとかを食べて、うまく人を利用している部分で非常に、生きる力があるし、賢い鳥だなと思います。
その中でも、私がそのカラスの賢さ、1番賢いなって思うのは、貯食という行動に関して特に思っています。
貯食っていうのは、貯金の貯めるに食べるって書くんですけれども、カラスって、食べ物を見つけると、その場で全部食べちゃうんじゃなくて、自分の隠し場所に隠しておくんですね。
それを貯食って言うんですけれども、貯食する場所っていうのが、数十か所とか、100を超えるとかって言われていて。でもその場所をほとんど覚えてるらしいんですね。記憶力っていう意味で言うと、はっきり言って、私よりもはるかに賢いんじゃないかなとか思っていてですね、そういう部分はすごい鳥だなっていうのは思ってます。
あともう1つ、洞察力というか、その状況を見る力というか。
そこで判断して、どういう風に動くかみたいな能力っていうのがすごく優れていると思います。例えば、よく対策グッズ、カラスの被害対策の製品とかもすぐに慣れてしまうんです。
その慣れるまでの間、どんなものでも、目新しいものを置くと、必ずしばらくは来なくなるんです。
それは別にカラスが嫌がってるから、そこに来ないっていうわけではなくて、見慣れないものだから、何かあるんじゃないかと警戒して来なくなる。
こういった効果のことを、私はかかし効果と呼んでいます。
要は、伝統的な対策で、かかしがありますよね。あれを置くと、別にカラスはかかしを嫌がってるわけではないんですけれども、一時的に用心してこなくなる。そういった用心するみたいな行動っていうのは、非常に洞察力が優れているからこそだと思うんです。
そういった洞察力みたいな部分っていうのは、やはり親からの教育を受けて、厳しい環境を生き抜いてきたからこそ培われるんじゃないかなと思います。
野生動物としてのカラス
(⋆•ᴗ•⋆) なるほど。持って生まれた賢さと生きていく上で培ったその力っていうのが合わさって、あんなに頭が良いと思えることがよくわかりました。先ほど、生ゴミを漁って食べたり、人の居住区に入り込んだりとおっしゃっていたと思います。
生ごみが外に置かれるようになったことや、カラスが住みやすいような町の設計になったというのも、日本とか世界によっても、その地域差っていうのがあると思います。
人間の社会が発展してくる前は、カラスはどんな生き物だったんですか。
(¯∇¯)۶ そうですね。元々人の生活圏にいる動物なんです。昔から割と人の身近な場所にずっといた動物は、栽培している作物を食べたりみたいなことは、昔からあったとは思うんです。
けれども、近代化して、今みたいに「生ごみ出し」みたいな部分は、食べ物をいつも同じ場所に用意してくれてる、ある意味餌付けみたいなもんだと思うんです。
近代化によってですね、生きやすいような環境にはなってきているのかなとは思います。農作物に関しても、多分収量が上がったりですとか、あとはその栄養価がすごく高くなったりしていると思うんですね。
品種改良とか。そういった部分も、カラスがより生き残れるというか、生きていけるための要素になっているのかなという気はしますね。
(⋆•ᴗ•⋆) カラスは、結構社会問題とも非常に強い関わりがあると思っていて、このようにカラスがこの社会の問題として、一種のなんか悪者として捉えられるようになってきたのはどういうふうな歴史があるんですか。
(¯∇¯)۶ イメージの悪さみたいなところの話で言うと、昔からよくあるのが、死にまつわるイメージというか、ちょっと不吉なイメージみたいなのがあります。
それは、元々カラスは動物の死体を食べるみたいな、スカベンジャーっていうんですけれども、動物が死んで土に戻るまでに分解の過程があるわけですけれども、最初の解体者と言うんですかね、その役目を担っているのがカラスでした。
昔は、たぶん火葬じゃなくて土葬とかだったと思うんです。そういう時に死体をつついているみたいな、そういう場面から死とか不吉なイメージみたいなのが連想されて、それによって悪いイメージっていうのが元々あったんじゃないかなとは思います。
それに、身近なところで、生ごみを荒らしているシーンを見るので、あまりいいイメージはつかないですよね。すごくゴミ荒らされて、カラスからしてみたら、ただ食べ物があるから、そこで食べてるだけなんですけれども。すごく散らかすと、そういうところでネガティブなイメージを持ちますよね。
農作物を育ててる農家さんからしたら、せっかく育てた作物を食べられてしまったりすることで、ネガティブなイメージを持つようなことで、だんだんカラスに対して、すごく悪いイメージがついてるんじゃないかなとは思います。
カラスのコミュニケーション
(⋆•ᴗ•⋆) カラスが何を喋っているかを研究することを杉田先生に言われた時は、どういう印象でしたか。
(¯∇¯)۶ そうですね、聞いた時はすごい面白そうだっていうので、取り組んでみたいなって思ったんですけれども。いざやり始めてみると、とんでもないなと思って。
めちゃくちゃ大変で、結局未だにずっと、もう20年ぐらい研究してるのですが、未だにカラスの鳴き声、何を喋ってるかをちゃんと声みたいなのを理解できたわけではありません。
もちろん、すごい色々バリエーションあるんですけれども。
そういうの卒論のテーマでやるっていうのは、なかなかすごいテーマだなと、今にしてみれば思います。
(⋆•ᴗ•⋆) 素朴な疑問なんですが、烏と対話できるようになりましたか。
(¯∇¯)۶ なかなか今も難しいは難しいんです。
ですが、スピーカーからあるカラスの鳴き声を流します。その時、シチュエーションに合ったカラスの声を流すと、こちらの思い通りの行動をしてくれます。ある意味、そこでは対話は成立しているのかなという気はしてます。
それによってある程度行動をコントロールできていると思っています。それがCrowLabの事業に繋がってるっていうことでもあるんですけれども。
(⋆•ᴗ•⋆) カラス同士の会話っていうのは、私たちも普段日常生活の中で見受けられるんですが、カラスは人間の言葉もわかるんですか。
(¯∇¯)۶ 多分ほとんど理解はしてないんだと思うんですが、やっぱり洞察力に優れる鳥なので、人の言葉というよりむしろ振る舞いの方が大きいですかね。
いろいろな振る舞いを見て、あいつはこういうことするんじゃないかみたいなことから、考えていろいろ行動しているという節はありますね。
よく人のことを観察してます。
(つづく)
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