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「アノオンシツでアートと向き合う」                    1. アノオンシツプロジェクト


2023年8月7日、一年前に配信したChatPot 02「アノオンシツでアートと向き合う:朴炫貞さん」の内容をお読みいただけるようになりました。

第1回はアノオンシツプロジェクトです。北大キャンパスの外れ、大きな道路を挟んだ札幌研究林苗畑にある古い温室に朴さんと一緒に訪れ、アートプロジェクトであるアノオンシツプロジェクトのお話を伺っています。

今年(2024年)も暑い夏となっていますが、昨年もかなり暑かったようです。



(⋆•ᴗ•⋆)   今は夏の盛りといった感じで猛暑の毎日ですが、そんな中でも緑豊かな北海道大学は少しだけ過ごしやすく感じます。

今日は北大キャンパスの外れ、大きな道路を挟んだ札幌研究林苗畑にやってきました。植物を育てている庭園のようなスペースに、古いガラス製の温室が立っています。 ちょっと覗いてみましょう。

今、私たちがいるのは、アーティストであり研究者でもある朴炫貞(パクヒョンジョン)さんが北大で展開しているアートスペース。アートプロジェクトの拠点にもなっているアノオンシツ。

温室に夏に来るとは。

私も初めての経験なのですが、温室に来るとなぜかすごく心が涼やかな気分にもなります。

こんにちは。失礼します。すごい植物の香りがして、植物の呼吸が感じられるような素敵な空間ですね。


(^o^)/*  なんだか甘い香り感じられますよね。温室の中にイチジクの木があって。

いまちょうど実がなる季節なので、実の香りがとても甘く感じられるはずです。


(⋆•ᴗ•⋆)   緑が、夏なので青々していてすごく綺麗です。ここは元々どんな施設だったのですか。


(^o^)/*  ここはですね。札幌研究林苗畑っていう場所です。

昔は苗を育てていて、いろいろな研究林に送るためのエリアだったらしくて、その中に実験の場所として建てられたのがこの温室です。

ここは建てられて50年ぐらい経っているのですけど、当時はこの中がミスト室だったりして、数多くの植物の実験をしていたらしいのです。

でも施設がやはり老朽化してきたこともあって、その温室の機能は、別の新しい温室に移転して、ここは苗畑のいろんな畑仕事の控え室として使われていたりしています。


(⋆•ᴗ•⋆)   現在、温室の中は気温が39度1分あるのですが…。


(^o^)/*  そうなんです。日差しが差す時は、50度近くに上がったりするところもあります。


アートプロジェクトで産み出されるメッセージ

(⋆•ᴗ•⋆)   今日はとても暑いので、アイスコーヒーをお持ちしました。 パク先生のアノオンシツのプロジェクトで生まれた「アノトキ」です。まずは一杯どうぞ。


(^o^)/*  ありがとうございます。


(⋆•ᴗ•⋆)   こちら、燻製コーヒーと伺っているのですが、普通のコーヒーと違って微かな燻の香りが感じられて。アイスコーヒーにしてもその風味が失われることなく、とてもおいしいです。

アートプロジェクトでコーヒーを作って、どういうことなんだろうって思っていたのですが、詳しくお話を伺ってもいいですか。


(^o^)/*  はい。このコーヒー、先ほど言ってくれたように、 アノトキっていう名前になっています。

このアノオンシツプロジェクトを始めようとした場所は、見捨てられてはないんですけど、その用途を失っていました。老朽化につれてひっそりその用途が変わってしまった場所でした。

その場所を、アートの視点で新しい命を吹き込みたいと思ってプロジェクト始めたんです。けれども、その温室の中で何か展示やイベントをやるっていうだけじゃなくて、温室の周辺の環境もちゃんと観察したいな、記録したいなと思って始めたプロジェクトです。


このコーヒーができたのは、その一環です。

じつは温室があるこの苗畑と、メインキャンパスというか、農学部のある場所を繋げていた跨道橋があったのですけど、その橋がちょうどまた50年ぐらいの歴史を経ていて、老朽化で撤去するっていう話になったんですね。その撤去する工事に伴って、320本ぐらいその周辺の木を伐採してしまうという話を聞いて。細い木だけじゃなくて、樹齢100年以上のイチョウの木も含めて伐採されるっていう計画を聞いたのです。

それを止めることは私にはできないなとは思いました

そこで、じゃあ、その伐採した木をどう活用できるのかということを考えました。

そうして、地元のコーヒー屋さん、RITARU COFFEEというコーヒー屋さんと一緒にコラボして、焙煎したコーヒー豆に、木のチップをいぶして煙をまとわせて商品を作ることにしました。つまり、その木々の生きていた時間を一緒に味わえるようなコーヒーを作ったことになります。

なので、北大の中でもいろんな 研究と絡めた商品開発とあると思うんですけど、アートの実技の専門研究室っていうところが北大にはないので、結構新しい視点での商品、作品ができたのかなと思います。

アノトキの詳細と購入はこちらをご覧ください。アノトキ 


(⋆•ᴗ•⋆)   用途を失って、なおもアートな視点で命を吹き込むということで、この温室と周辺環境自体がパク先生にとって作品ということでしょうか。


(^o^)/*  うーん、作品にできるフィールドって言えるでしょうか。

その伐採した木も320本ぐらいあって、ある程度保管して乾燥させているのですけど、全部保管するのはお金的にも場所的にも難しい。

そこで、去年はその伐採した木で地元の家具のクリエイターさんと集まって、皆さんと一緒にオリジナルの椅子をその伐採した木で作ったりとか、あと全然違う彫刻家と組んで北海道の山を連想できるような展覧会をやったりするとかして。

木のマスターみたいになってしまっているのですけど、私が作るというより、ここのフィールドのいろんな素材だったり風景だったり出来事っていうものを用いて、学外と繋ぐプロジェクトをやるフィールドということになるのかなと思います。

だから、アノオンシツ自体が作品というよりは、アノオンシツは、いわゆるそのアートプロジェクトの名前って言いましょうか、括りであって、その中で何がどういうふうにできるのかっていうところは年を経るごとに変わっているので、今私が想像できるところと実際来年とか再来年にできるプロジェクトがあるとしたら、それとは違ったりする可能性もあるなと思っています。

自然って変わっていくものなので、そういう変化に伴って、私もその中で、自分で語れるようなメッセージを発信していきたいなと思っているところです。


アノオンシツの温室の魅力

(⋆•ᴗ•⋆)   インタビューの途中ですが、温室の中がとても暑くなってきましたので、一度外に出てお話をお伺いしたいと思います。JRの電車が通過する音がこんなにも間近で聞こえるんですね。


(^o^)/*  そうなんですよ。

この温室の魅力の話をそういえばしてないなと思ったんですけど、最初この温室を見つけた時に、秘密の花園みたいな場所がポンって現れたっていう感覚でした。

JRの線路がすごく近いですし、夜に見ると本当に流れ星のように電車が通るんですよね。

しかもその温室の形とかもちょっと当時のおしゃれであるアールのカーブだったり。

天窓を開けるために、鎖でアナログに開けたりするっていう、なんなんでしょう、1つ1つすごく面倒くさいことが多いんですけど。

そういう面倒くささが今だからこそ新しく感じられる場所っていうところが、私にはすごく魅力で、もう一目惚れしたっていうところがあるのかなと思います。

JRの線路も、時にはうるさく感じる場合もあるのですけど、ただ、温室にずっと行ったり、温室の周辺に立っていたりすると、風の音で木が揺らぐ音とJRの通る音がいい感じでハーモニーになっていて。

そういったところも、 こんなに札幌の都心で、北大ともとても近いのに、全然違う場所があるんだというところが新しさと繋がるのかなって思います。

(つづく)


*アノオンシツプロジェクトの詳細はこちらをご覧ください。アノオンシツ

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